平成29年分 保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書 の書き方についてご案内します。
「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」は、年末調整で必要となる書類の一つです。
正式名称は「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」。
大変長い名称の申告書ですね。
保険関係と配偶者特別控除の2つがセットの申告書です。
次の5つの申告が行える書類になっています。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 配偶者特別控除
控除を受けたい内容を記載して申告を行います。
国税庁で配布されている記載例はこちら。
<国税庁> 平成29年分 給与所得者の保険料控除 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書の記載例
分かる人にしか分からない記載例ですよね~。
それでは、順に見て行きましょう!
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目次
基本情報の記入
この書類は、保険関係や配偶者特別控除を受けない方は、提出不要です。
「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の用紙の一番上のブロックは、赤枠部分の記入が必要です。
青枠は法人(個人事業主)が記入する部分です。
こちらの内容は事業者の方は分かると思いますので、割愛させて頂きます。
給与所得者は、赤枠部分を記入します。
- ①あなたの氏名
- 自分の名前とフリガナを記入し、名前の横に押印します
- ②あなたの住所又は居所
- 自分の住所を記入します
「生命保険料控除」欄の書き方
生命保険料控除は、あなたが支払ったものに限り、控除が受けられます。
記載の説明に入る前に、もう1点予備知識をお伝えしておきたいと思います。
なるべく多くの数字を記載したり、多くの控除証明書を添付すれば、それだけ沢山の控除を受けられると勘違いされている方がいらっしゃいます。
控除には、「一般」・「介護」・「個人年金」それぞれ4万円~5万円の限度額が設けられています。
控除額は計算によって算出されますので、年間払込保険料としての限度額もそれぞれ異なってきます。
その限度額を超える記載をしても、記載した努力は無駄になってしまいますので、その辺の説明も加えながら書き方の解説をして行きます。
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一般の生命保険料
保険会等の名称、種類、期間・・・と色々記載する欄があります。
数字以外の内容も出来るだけ書いた方が望ましいですが、分かる範囲で書けば良いでしょう。
記載できる欄は4行しかありません。
※記載欄が足りないときは、用紙を継ぎ足すか内訳書を添付ます。
複数の控除証明書をお持ちの方は、数字の大きい順に控除証明書を並べてみましょう!
この時、「新制度」と「旧制度」の控除証明書がそれぞれある様でしたら、「新」・「旧」毎に数字が大きい順に並べてみましょう。
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<ポイント1>
「旧」の控除証明書が複数枚ある場合、数字の大きい物から記載し、年間の払込保険料合計額が10万円を超えれば、それ以上追加しても無駄ですので記載終了です。
残りの控除証明書は使用しません。
<ポイント1>以外のパターンの場合は、<ポイント2>を参考に、大きい順に並べて書いて行きましょう。
<ポイント2 : 「旧」と「新」の控除証明書がある場合>
「旧」の年間払込保険料の合計額が6万円を超える場合、控除額は4万円を超えますので、「新」の控除額は記載する必要がありません。
※「新」「旧」合わせての控除額の最高限度額は4万円ですので、記載しても無意味になります。
年間の払込保険料額の合計は、それぞれ「新」は8万円以上、「旧」は10万円以上であれば、最大の控除額に達します。
それ以上記載しても無駄ですので残りの控除証明書は使用しません。
ここまでの内容で、表内の(a)の部分の数字まで記載が済みましたでしょうか?
それでは、合計欄の数字を記載して行きましょう!
- 「(a)のうち新保険料等の金額の合計額」欄
- (a)の数字の内、区分「新」に該当する数字の合計額をA欄に記載します。
続いて右の欄に移り、①欄の記入を行います。
①欄に入る数字は、A欄に記載した数字を元に、次の表によって計算を行います。
新 区 分 | |
---|---|
年間の払込保険料 | 控除額 |
20,000円以下 | 払込保険料の全額 |
20,000円超~40,000円以下 | 払込保険料÷2+10,000円 |
40,000円超~80,000円以下 | 払込保険料÷4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
A欄の数字が8万円を超えたら、どんなに金額が大きくても控除額は最高4万円と記入する事に注意しましょう。
「(a)のうち旧保険料等の金額の合計額」欄
- (a)の数字の内、区分「旧」に該当する数字の合計額をB欄に記載します。
続いて右の欄、②欄の記入を行います。
②欄に入る数字は、B欄に記載した数字を元に、次の表によって計算を行います。
旧 区 分 | |
---|---|
年間の払込保険料 | 控除額 |
25,000円以下 | 払込保険料の全額 |
25,000円超~50,000円以下 | 払込保険料÷2+12,500円 |
50,000円超~100,000円以下 | 払込保険料÷4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
B欄の数字が10万円を超えたら、どんなに金額が大きくても控除額は最高5万円と記入する事に注意しましょう。
続いて、①欄および②欄の合計額を③欄に記入します。
①+②=③
なのですが、③の欄の最高額は4万円が限度です。
注意して下さい。
続いて、②と③の内いずれか大きい方の数字を(イ)欄に記入して完了です。
控除には、金額の多少にかかわらず全てのものについて、生命保険会社等が発行した証明書類の添付が必要です。
※勤務先を対象とする団体特約により払い込んだ生命保険料の場合は除く
ただし、「旧」生命保険料については、一契約の保険料(分配を受けた剰余金、割戻金を差し引いた残額)が9,000円を超えるものについて、必要とされています。
介護医療保険料
介護保険料は、保険料控除証明書の区分に「介護」の文字が入ってるものが対象です。
一般の生命保険料と同様に、保険会等の名称、種類、期間・・・と色々記載する欄があります。
数字以外の内容も出来るだけ書いた方が望ましいですが、分かる範囲で書けば良いでしょう。
記載できる欄は2行しかありません。
※記載欄が足りないときは、用紙を継ぎ足すか内訳書を添付ます。
複数の控除証明書をお持ちの方は、数字の大きい順に控除証明書を並べて書いて行きましょう!
1枚の控除証明書で、年間の払込保険料額の合計が8万円以上であれば、最大の控除額に達します。
2枚目を記載しても無意味となります。
表内の(a)の部分の数字まで記載が済みましたら、合計欄の数字を記載して行きましょう!
「(a)の金額の合計額」欄は、(a)欄に記載した介護医療保険料を合計してC欄に記載します。
続いて(ロ)欄の記入の説明を行います。
(ロ)欄に入る数字は、C欄に記載した数字を元に、次の表によって計算を行います。
新 区 分 | |
---|---|
年間の払込保険料 | 控除額 |
20,000円以下 | 払込保険料の全額 |
20,000円超~40,000円以下 | 払込保険料÷2+10,000円 |
40,000円超~80,000円以下 | 払込保険料÷4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
C欄の数字が8万円を超えたら、どんなに金額が大きくても控除額は最高4万円と記入する事に注意しましょう。
控除には、金額の多少にかかわらず全てのものについて、生命保険会社等が発行した証明書類の添付が必要です。
※勤務先を対象とする団体特約により払い込んだ生命保険料の場合は除く
個人年金保険料
こちらの記載や計算方法は、「一般の生命保険料」のパターンと全く同じですが、個人年金だけの方もいらっしゃると思いますので、一通り記載します。
保険会等の名称、種類、期間・・・と色々記載する欄があります。
数字以外の内容も出来るだけ書いた方が望ましいですが、分かる範囲で書けば良いでしょう。
記載できる欄は3行しかありません。
※記載欄が足りないときは、用紙を継ぎ足すか内訳書を添付ます。
複数の控除証明書をお持ちの方は、数字の大きい順に控除証明書を並べてみましょう!
この時、「新」と「旧」がそれぞれある様でしたら、「新」・「旧」毎に数字が大きい順に並べてみましょう。
[関連記事]「新制度」か「旧制度」かは、ここを見ればわかる!
<ポイント1>
「旧」の控除証明書が複数枚ある場合、数字の大きい物から記載し、年間の払込保険料合計額が10万円を超えれば、それ以上追加しても無駄ですので記載終了です。
残りの控除証明書は使用しません。
<ポイント1>以外のパターンの場合は、<ポイント2>を参考に、大きい順に並べて書いて行きましょう。
<ポイント2 : 「旧」と「新」の控除証明書がある場合>
「旧」の年間払込保険料の合計額が6万円を超える場合、控除額は4万円を超えますので、「新」の控除額は記載する必要がありません。
※「新」「旧」合わせての控除額の最高限度額は4万円ですので、記載しても無意味になります。
年間の払込保険料額の合計は、それぞれ「新」は8万円以上、「旧」は10万円以上であれば、最大の控除額に達します。
それ以上記載しても無駄ですので残りの控除証明書は使用しません。
ここまでの内容で、表内の(a)の部分の数字まで記載が済みましたでしょうか?
それでは、合計欄の数字を記載して行きましょう!
- 「(a)のうち新保険料等の金額の合計額」欄
- (a)の数字の内、区分「新」に該当する数字の合計額をD欄に記載します。
続いて右の欄に移り、④欄の記入を行います。
④欄に入る数字は、D欄に記載した数字を元に、次の表によって計算を行います。
新 区 分 | |
---|---|
年間の払込保険料 | 控除額 |
20,000円以下 | 払込保険料の全額 |
20,000円超~40,000円以下 | 払込保険料÷2+10,000円 |
40,000円超~80,000円以下 | 払込保険料÷4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
D欄の数字が8万円を超えたら、どんなに金額が大きくても控除額は最高4万円と記入する事に注意しましょう。
「(a)のうち旧保険料等の金額の合計額」欄
- (a)の数字の内、区分「旧」に該当する数字の合計額をE欄に記載します。
続いて右の欄、⑤欄の記入を行います。
⑤欄に入る数字は、E欄に記載した数字を元に、次の表によって計算を行います。
旧 区 分 | |
---|---|
年間の払込保険料 | 控除額 |
25,000円以下 | 払込保険料の全額 |
25,000円超~50,000円以下 | 払込保険料÷2+12,500円 |
50,000円超~100,000円以下 | 払込保険料÷4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
E欄の数字が10万円を超えたら、どんなに金額が大きくても控除額は最高5万円と記入する事に注意しましょう。
続いて、④欄および⑤欄の合計額を⑥欄に記入します。
④+⑤=⑥
なのですが、⑥の欄の最高額は4万円が限度です。
注意して下さい。
続いて、⑤と⑥の内いずれか大きい方の数字を(ハ)欄に記入して完了です。
控除には、金額の多少にかかわらず全てのものについて、生命保険会社等が発行した証明書類の添付が必要です。
※勤務先を対象とする団体特約により払い込んだ生命保険料の場合は除く
合計欄の記載
「生命保険料控除額計」の欄は、上記の
- 一般の生命保険料の(イ)欄
- 介護医療保険料の(ロ)欄
- 個人年金保険料の(ハ)欄
の3つの合計を記載します。
但し、合計が12万円を超える場合には、120,000と記載します。
「地震保険料控除」欄の書き方
地震保険料控除は、次の要件をすべて満たす人のみ控除が受けられます。
- あなた又はあなたと生計を一にする親族が所有している家屋・家財
- 常時その居住の用に供しているもの
- あなたが支払ったもの
保険会等の名称、種類、期間・・・と色々記載する欄があります。
上記の要件がありますので、全ての欄を記入した方が良いでしょう。
複数の控除証明書をお持ちの方は、「地震」「旧長期」毎に数字の大きい順に控除証明書を並べてみましょう!
記載できる欄は2行しかありません。
※記載欄が足りないときは、用紙を継ぎ足すか内訳書を添付ます。
効率よく記載し、なるべく多くの控除を受けるには、次の点を参考にすると良いでしょう。
<ポイント①>
1枚の控除証明書に、「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の両方に数字が記載されているものがありますが、両方同時に控除を受ける事は出来ず、どちらか有利な方のみ記載することができます。
<ポイント①>のどちらか有利な方とは、単純に大きい方の数字を取れば良いのであれば簡単なのですが、「旧長期」は次の表の計算式によって控除額が決まってきますので、注意が必要です。
旧長期 | |
---|---|
年間の払込保険料 | 控除額 |
10,000円以下 | 払込保険料の全額 |
10,000円超~20,000円以下 | 払込保険料÷2+5,000円 |
20,000円超 | 一律15,000円 |
<ポイント②>
「地震」では合計支払額5万円超で控除限度額に、「旧長期」では合計支払額2万円超で控除限度額に達します。
<ポイント①>および<ポイント②>を踏まえ、控除額が一番大きくなる数字を記載して行く事になります。
合計欄の記載方法について
(A)欄の内、「地震」に該当するものの合計額を(B)欄に記入します。
(A)欄の内、「旧長期」に該当するものの合計額を(C)欄に記入します。
その下の枠内の「(B)の金額」欄は、5万円超であれば50,000と記入し、5万円以内であればその金額を記入します。
その右隣「最高15,000円」と書いてある欄は、上記(緑色)の表に従った数字を記入します。
続いて右の太枠欄には、それらの金額の合計を記入しますが、最高が5万円となります。
控除には、保険料の金額の多少にかかわらず全てのものについて、損害保険会社等が発行した証明書類の添付が必要です。
「社会保険料控除」欄の書き方
「社会保険料控除」欄は、給与から天引きされた社会保険料は、記載する必要はありません。
あなたが加入している保険の他、あなたと生計を一にする親族が負担することになっている次のような保険料で、あなたが本年中に支払ったものが記載できます。
- 国民健康保険の保険料や国民健康保険税
- 健康保険、厚生年金保険や船員保険の保険料(任意継続被保険者の負担すべき分を含みます。)
- 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料(後期高齢者医療制度の保険料)
- 介護保険法の規定による介護保険の保険料
- 国民年金の保険料や国民年金基金の加入員として負担する掛金(控除には、証明書類の添付が必要)
- 農業者年金の保険料や雇用保険の労働保険料など
記載できる欄は2行しかありません。
記載欄が足りないときは、用紙を継ぎ足すか内訳書を添付ます。
「小規模企業共済等掛金控除」欄の書き方
「小規模企業共済等掛金控除」欄は、給与から天引きされた小規模企業共済等掛金は、記載する必要がありません。
あなたが本年中に支払った次に掲げる掛金が控除の対象となります。
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構と締結した共済契約(旧第2種共済契約を除きます。)に基づく掛金
- 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金
- 地方公共団体が条例の規定により精神又は身体に障害がある者に関して実施する心身障害者扶養共済制度で一定の要件に該当する契約に基づく掛金
控除には、独立行政法人中小企業基盤整備機構や国民年金基金連合会、地方公共団体が発行した証明書類の添付が必要です。
「給与所得者の配偶者特別控除申告書」欄の書き方
「給与所得者の配偶者特別控除申告書」欄は、次の場合に記入することが出来ます。
- あなたの合計所得金額が1,000万円以下(給与所得だけの場合は、本年中の給与の収入金額が12,200,000円以下)
- 生計を一にする配偶者であること
次の場合には、配偶者特別控除を受けることができません。
- 配偶者控除の対象となる場合(配偶者の合計所得金額が38万円以下)
- 他の人の扶養親族とされる場合
- 青色事業専従者として給与の支払を受ける場合
- 白色事業専従者に該当する場合
以上の条件に合い申告出来そうだなと思ったら、とりあえず次の表の赤枠部分を埋めて計算してみましょう!
年金収入がある方は、次の表を参考に、雑所得の収入金額等の欄に数字を入れて計算します。
受給者年齢 | 公的年金等の収入金額 | 公的年金等の雑所得の金額 |
---|---|---|
65歳未満 | ~700,000円 | 所得金額は0円 |
700,001円~1,299,999円 | 公的年金の収入金額-700,000円 | |
1,300,000円~4,099,000円 | 公的年金の収入金額×0.75-375,000円 | |
65歳以上 | ~1,200,000円 | 所得金額は0円 |
1,200,001円~3,299,999円 | 公的年金の収入金額-1,200,000円 |
埋めた結果、A欄の数字が380,001円~759,999円迄の場合に配偶者特別控除が受けられます。
※A欄の数字が38万円以下の場合は「配偶者控除」が受けられます。
控除が受けられる場合は、青枠の「A欄の金額」より該当する範囲の数字の行の右側、「控除額B」の数字を、ピンク枠部分の「早見表Bの金額」欄に記入します。
そして、「平成29年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「控除対象配偶者」欄の行、「平成29年中の所得の見積額」欄に、その数字を記入します。
数字を記入する用紙は、平成29年分の赤枠部分です。(平成30年分ではありません)
詳しい記載方法は、平成29年分 給与所得者の扶養控除等申告書の書き方の、「A.控除対象配偶者」欄の記入をご覧下さい。