新型コロナウイルスの感染拡大で、影響を受けている中小企業者への資金繰り支援措置として、「セーフティネット保証制度」を実施することを政府が決めました。
実施される4号および5号の内容の概要と手続きについての解説です。
目次
セーフティーネット保証とは
セーフティネット保証(経営安定関連保証)は、経営の安定に支障をきたしている中小企業が市区町村の認定を受けることで、一般保証とは別枠で2億8,000万円(無担保8,000万円・有担保2億円)を上限に利用できる保証制度です。
セーフティーネット保証には1号から8号までありますが、新型コロナウイルスの感染拡大をうけて政府が実施を決めたのは、4号および5号です。
セーフティーネット保証4号と5号は併用できますが、同じ枠になります。
原則に従うと以下のようになりますが、経済産業省によると「売上高の減少等の程度に関わらず、今後の影響が見込まれる場合も含めて融資」とのことで要件を緩和しているようですので、お困りの方は相談されると良いと思います。(参考)
セーフティーネット保証4号
自然災害などの突発的な事由で、中小企業の経営の安定に支障が出ている場合に、都道府県からの要請を受けて国が適用するもので、各地の信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で中小企業の借入金を100%保証する制度です。
対象となる中小企業者
対象は、次のいずれにも該当する中小企業者です。
- 申請者が「指定地域」において1年間以上継続して事業を行っていること。
- 新型コロナウイルス感染症の発生に起因して、その事業に係る当該感染症の影響を受けた後、原則として最近1か月の売上高または販売数量が前の年の同じ月と比べて20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
指定地域
日本全域、47都道府県が対象です。
申請に必要な書類
- セーフティーネット保証1号認定申請書(提出用・控え用、2部提出)
- 最近1ヶ月の売上高と前年同月の売上高が確認できる書類1部
- 最近1ヶ月とその後2ヶ月間を含む3ヶ月間の売上高予測値と、その前年同期間の3ヶ月の売上高に関する計算資料
※前年同月の売上高が確認できる書類は、月次損益計算書や、売上表など。
※計算資料は、任意様式としているようです。
セーフティーネット保証5号
重大な影響が生じている業種に属する中小企業者を支援するための措置で、各地の信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で中小企業の借入金を80%保証する制度です。
対象となる中小企業者
「指定業種」に属する事業を行っていて、次のいずれかの要件を満たし、市区町村長の認定を受けた中小企業者が対象です。
- 最近3か月間の売上高などが、前の年の同じ時期の売上高などと比べて5%以上減少している
- 製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない
指定業種
旅館・ホテル、食堂、レストラン、フィットネスクラブなど40業種。
手続
本店等(個人事業主の場合は主たる事業所)所在地の市区町村に認定申請を行います。
希望の金融機関または最寄りの信用保証協会に認定申請書を持参し、保証付き融資を申し込みます。
最寄りの信用保証協会はこちら から検索できます。
参考資料
経済産業省 支援策パンフレット
経営相談窓口
関連情報
- 新型コロナウイルス感染症に係る中小企業者対策(セーフティネット保証4号の指定)(2020-02-28)
- 新型コロナウイルス感染症に係る中小企業者対策(セーフティネット保証5号の追加指定)(2020-03-03)
- 中小企業庁 セーフティーネット保証制度について
- 経済産業省 新型コロナウイルス感染症関連